池田純税理士事務所

富山県富山市の税理士事務所のブログです。

相続税対策‐生前贈与 

 

 

 平成27年の相続税の改正により、相続税の基礎控除が従来の6割に減額され、相続税の課税対象となる人が増えたため、相続税対策が必要なケースも増えています。今回は相続税対策の一つとして、生前贈与についていくつかのケースでの計算例を踏まえて検討してみたいと思います。 


1.相続税の計算方法

相続人 配偶者、こども2人(Aさん、Bさん)の場合

ステップ:課税価格の算出                                          

                                                                                                                                                                 (円)

 

ケース1

ケース2

ケース3

ケース4

ケース5

相続財産

70,000,000

100,000,000

200,000,000

300,000,000

500,000,000

基礎控除(*

48,000,000

48,000,000

48,000,000

48,000,000

48,000,000

課税価格

22,000,000

52,000,000

152,000,000

252,000,000

452,000,000

* 基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数 
 この場合(法定相続人3人)、相続財産が4,800万円までなら相続財産が基礎控除以下となり、相続税はかからない


2ステップ: 課税価格を法定相続分で按分
 法定相続分 配偶者:1/2、子供A:1/4、子供B1/4                                                                    

                                                                            (円)

 

ケース1(*

ケース2

ケース3

ケース4

ケース5

配偶者

11,000,000

26,000,000

76,000,000

126,000,000

226,000,000

子供A

5,500,000

13,000,000

38,000,000

63,000,000

113,000,000

子供B

5,500,000

13,000,000

38,000,000

63,000,000

113,000,000

* 配偶者:22,000,000×1/2=11,000,000円、子供22,000,000×1/4=5,500,000円

ステップ:各人の相続税を計算し、相続税の総額を計算する。

                                                                      (円)

 

ケース1

ケース2

ケース3

ケース4

ケース5

配偶者

1,150,000

*3,400,000

15,800,000

33,400,000

74,700,000

子供A

550,000

1,450,000

5,600,000

11,900,000

28,200,000

子供B

550,000

1,450,000

5,600,000

11,900,000

28,200,000

合計

2,250,000

6,300,000

27,000,000

57,200,000

131,100,000

* 26,000,000×15%-500,000=3,400,000円(相続税の税率参照)

  
相続税の税率


第4ステップ:相続税の総額を各人の財産の取得割合で按分する。
(1)財産の取得割合 配偶者:1/2、子供A1/4、子供B1/4の場合

                                                                            (円)

 

ケース1

ケース2

ケース3

ケース4

ケース5

相続税の総額

2,250,000

6,300,000

27,000,000

57,200,000

131,100,000

配偶者

1,125,000

3,150,000

13,500,000

28,600,000

65,550,000

*税額軽減後)

0

0

0

0

0

子供A

562,500

1,575,000

6,750,000

14,300,000

32,775,000

子供B

562,500

1,575,000

6,750,000

14,300,000

32,775,000

合計

1,125,000

3,150,000

13,500,000

28,600,000

65,550,000

相続財産に対する割合

1.6%

3.2%

6.8%

9.5%

13.1%

*)配偶者の相続税については、取得財産のうち(全員の取得財産×法定相続分)までは税額軽減が受けられます。

 

(2)財産の取得割合 子供A1/2、子供B1/2の場合

                                                                 (円)

 

ケース1

ケース2

ケース3

ケース4

ケース5

相続税の総額

2,250,000

6,300,000

27,000,000

57,200,000

131,100,000

配偶者

0

0

0

0

0

*税額軽減後)

0

0

0

0

0

子供A

1,125,000

3,150,000

13,500,000

28,600,000

65,550,000

子供B

1,125,000

3,150,000

13,500,000

28,600,000

65,550,000

合計

2,250,000

6,300,000

27,000,000

57,200,000

131,100,000

相続財産に対する割合

3.2%

6.3%

13.5%

19.1%

26.2%

*配偶者が財産を取得していないと税額軽減は受けらず全体としての相続税が大きくなります。


2.贈与税

贈与税は贈与を受けた人に課せられる税で、年間110万円までが非課税となります。贈与財産と贈与税は下表のとおりです。

贈与財産

贈与税

贈与税/贈与財産

1,100,000円まで

0

       0.0%

3,000,000

190,000

       6.3%

5,000,000

485,000

       9.7%

7,000,000

880,000

      12.6%

10,000,000

1,770,000

      17.7%

 

 

贈与税の税率



3.生前贈与

 相続税の計算方法のところでわかるように相続財産が小さければ相続財産に対する相続税の割合は低いですが、相続財産が大きくなればなるほど税率も高くなります。(最高55
 このような場合には、
生前贈与をしておけば贈与税は毎年1人につき110万円までなら贈与税の非課税枠が使えて、贈与税を払わずに相続財産を減らすことができ、相続税を軽減できます。また、相続財産が大きく相続税で高い税率の適用が想定される場合は、相続税より比較的低額な税率で済む贈与を定期的に行うことにより、結果として贈与税、相続税トータルとしての税負担を軽くなります。
 以上のように、
相続税がかかると想定される場合は、相続財産、相続人の状況などを踏まえて、適切な金額の生前贈与を計画的に行うことにより、税負担を軽減することができます。

(参考)

 
相続税の計算方法 








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category: 相続税・贈与税

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相続税・贈与税の改正 

 

 平成25年の税制改正により平成27年1月1日以後の相続税、贈与税が改正されました。

 相続税については基礎控除の引き下げおよび高額な部分の税率引き上げにより増税となります。逆に贈与税については20歳以上の直系尊属(子孫)への贈与とそれ以外の贈与の税率を区分し、20歳以上の直系尊属への贈与の低額な部分の税率が引き下げられます。また、相続時精算課税制度の対象拡大、教育資金の贈与税の非課税の新設が実施されます。

 全体的な内容としては相続税は増税、贈与税は減税となっており、高齢者の保有資産を若年層に早期に移転し経済を活性化させる狙いがあるものと思いますが、これにより相続税の課税対象者は大幅に増加する見込みで、早期に相続対策を検討することが今まで以上に重要となります。

 主な改正点は以下の通りです。

1.相続税


(1) 基礎控除の引き下げ


   現行   5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
   改定後 3,000万円+600万円×法定相続人の数
 
 相続税の基礎控除は現行の6割となり、例えば相続人が3人の場合、現行の8,000万円が改定後は4,800万円となります。今回の改正で一番影響が大きいものと思われます。

(2) 税率の見直し

税率が以下の通り改正されます。

1億円超の区分が細分化され、6億円超の区分で55%の税率が新設されており、高額な相続財産について増税となります。


基礎控除後の
課税価格
現行改正後
20歳以上の直系尊属左記以外
税率控除額税率控除額税率控除額
~200万円10%10%10%
~300万円15%10万円15%10万円15%10万円
~400万円20%25万円15%10万円20%25万円
~600万円30%65万円20%30万円30%65万円
~1,000万円40%125万円30%90万円40%125万円
~1,500万円50%225万円40%190万円45%175万円
~3,000万円45%265万円50%250万円
~4,500万円50%415万円55%400万円
4,500万円超55%640万円

(青字は減税、赤字は増税)


(3) 未成年者控除・障害者控除

未成年者、障害者については、以下の通り、控除額が拡大されます。

<未成年者控除>
現行    6万円×20歳に達するまでの年数
改定後  10万円×20歳に達するまでの年数

<障害者控除>
現行    6万円(特別障害者は12万円)×85歳に達するまでの年数
改定後  10万円(特別障害者は20万円)×85歳に達するまでの年数

(4) 小規模宅地等の特例
   居住用宅地の対象面積の上限が240平米から330平米に拡大されます。

2.贈与税

(1) 税率構造の見直し

  受贈者が20歳以下の直系尊属の場合、現行よりも低額部分について減税になります。

(例) 贈与財産が500万円の場合

 基礎控除後の課税価格=500万円-110万円=390万円

  現行   390万円×20%-25万円=53万円
  改正後 390万円×15%-10万円=48.5万円
 
 贈与財産が1,000万円の場合

 基礎控除後の課税価格=1,000万円-110万円=890万円

  現行  890万円×40%-125万円=231万円
  改正後 890万円×30%-90万円=177万円

基礎控除後の
課税価格
現行改正後
20歳以上の直系尊属左記以外
税率控除額税率控除額税率控除額
~200万円10%10%10%
~300万円15%10万円15%10万円15%10万円
~400万円20%25万円15%10万円20%25万円
~600万円30%65万円20%30万円30%65万円
~1,000万円40%125万円30%90万円40%125万円
~1,500万円50%225万円40%190万円45%175万円
~3,000万円45%265万円50%250万円
~4,500万円50%415万円55%400万円
4,500万円超55%640万円

(青字は減税、赤字は増税)

(2) 相続時精算課税制度の見直し 

 相続時精算課税制度の対象者が拡大され、現行よりも利用しやすくなります。

 <現行>   受贈者:20歳以上の推定相続人、贈与者65歳以上の者

 <改正後> 受贈者:20歳以上の推定相続人および孫、贈与者60歳以上の者



category: 相続税・贈与税

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相続税早見表 

 

  相続税の早見表を作成しましたのでご活用ください。 なお、表の数字は相続人全員の相続税の総額です。

また、課税価格は被相続人の財産の評価額から小規模宅地等の特例や生命保険金、生前贈与財産などを加味して計算されますので、実際の財産の評価額とは異なります。 相続税がかかりそうな場合で、相続税のシミュレーションや相続対策を検討されたい方はお気軽にご相談ください。

(注)
・平成28年9月現在の税制により計算 ・配偶者がいる場合は、配偶者が相続財産の1/2を取得した場合の配偶者の税額軽減を考慮して計算。(配偶者の財産の取得割合によって相続税の総額は異なります。)
・配偶者の税額軽減以外の税額の加算や税額控除は考慮していない。

相続税早見表2


category: 相続税・贈与税

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贈与税早見表 

 

平成27年より贈与税の税率が改定されました。改定後の贈与税の早見表を作成しましたのでご活用ください。

 表中の特例贈与とは、直系尊属(祖父母や父母など)からその年の1月1日において20歳以上の者への贈与をいい、それ以外の贈与は一般贈与のほうをみてください。特定贈与と一般贈与では税率が異なり、1年あたり(1月から12月まで)410万円を超える贈与については、特例贈与のほうが贈与税額が低くなります。
 また、贈与税の非課税金額は1年あたり110万円ですので、110万円までの贈与の場合は贈与税はかかりません。

 参考までに贈与財産に対する贈与税の割合も算出しました。贈与税の税率は累進課税となっており、贈与財産が多くくなるほど贈与税の割合も高くなります。つまり1年でまとまった金額を贈与するよりも年々かに分けて贈与するほうが有利となります。

 例えば、1,000万円を特定贈与する場合、1年で贈与を行うと贈与税は177万円となりますが、2回に分けて500万円ずつ贈与すると、98万円(49万円×2)となります。

 相続税のシミュレーション(他の記事で相続税の早見表も掲載しています。)を行い、相続税の負担が大きい場合は、相続税の税率よりも有利な贈与税率の範囲で生前贈与を行うことで、相続税、贈与税を総合的にみて節税をすることができます。また、年間110万円の非課税以外にも、教育資金や結婚資金の贈与の非課税などの贈与税の軽減制度を使って効率的に生前贈与を行うこともできます。贈与や相続のことについてご相談がありましたらお気軽にお問合せください。

相続税早見表2
・平成28年9月現在

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