池田純税理士事務所

富山県富山市の税理士事務所のブログです。

役員報酬の決定について 

 

  中小企業の節税対策を考える上で重要な要素のひとつが役員報酬の決定です。役員報酬は、会社の業績や財務状況など様々な要素を考慮して決定しなければなりませんが、役員や株主が創業一族のみのような同族会社においては、節税の観点から役員報酬を調整することも考えられます。

 役員報酬を経費に算入することにより法人の所得が減少して、法人の税金は低くなります。一方で、役員報酬が増加することにより役員の役員報酬に対する所得税、住民税が増加するとともに社会保険料も増加します。そこで、法人に対する税金と役員個人に対する税金の構造を比較してみたいと思います。

 

1-1.法人税

 

800万円以下  の所得

800万円超の所得

法人税     ①

15.0%

23.9%

地方法人税  ②

0.7%

1.1%

※ 地方法人税:法人税の4.4%

1-2.法人住民税

 

800万円以下  の所得

800万円超の所得

市民税

1.8%

2.9%

県民税

0.5%

0.8%

住民税計    ③

2.3%

3.7%

※ 市民税:法人税の14.7%、県民税:法人税の5% (富山県富山市の場合)

①+②+③

18.0%

28.6%

1-3.事業税

 

400万円以下

800万円以下

800万円超

事業税

3.4%

5.1%

6.7%

地方法人特別税

1.5%

2.2%

2.9%

合計

4.9%

7.3%

9.6%

※ 地方法人特別税:事業税の43.2%

実効税率

21.8%

23.5%

34.9%

実効税率=(法人税率+住民税率+事業税率)/1+事業税率)

2.個人の所得税、住民税

所得税税率

課税所得

税率

(復興特別所得税含む)

195万円

5%

5.1%

330万円

10%

10.2%

695万円

20%

20.4%

900万円

23%

23.5%

1,800万円

33%

33.7%

4,000万円

40%

40.8%

4,000万円超

45%

45.9%

住民税

10%


課税所得=総所得-所得控除

  給与以外の所得がある場合は、それも合算したものが総所得になります。
  また、給与については給与収入から給与所得控除(下記参照)を引いた金額が所得(給与所得)になります。

(平成28年4月時点)


 上記のとおり、法人税の実効税率(中小企業の軽減税率適用の場合)は所得の区分に応じて所得が800万円までは20%強、所得が800万円を超えると約35%になります。また、役員個人の給与に対する税金は、所得の区分に応じて所得税、住民税合わせて約15%から最高で約56%までと法人税と比べてかなり幅があります。

  現状の給与所得以外も含めた課税所得の水準での個人に対する税率が法人税の税率と比べて低ければ、役員報酬を増やしたほうが会社・役員個人とトータルで見て税額が安くなり、逆の場合は役員報酬を減らしたほうが有利となります。

 また、社会保険料については保険料率が毎年上昇しており、会社負担・個人負担部分合わせると給与に対して30%近くになり、こちらの負担も大きいです。ただ会社負担分は会社の経費になり、個人負担分は個人の税金を計算する際に社会保険料控除により所得から全額控除され、それぞれ税金の軽減要素になりますので、実際の負担は支払った社会保険料×(1-税率)となります。また、厚生年金の支給額や健康保険の傷病手当金は標準報酬に比例するため見返りも大きくなるため単純に負担ばかりが増えるわけではありません。

 社会保険料は給与をランクで区切って、ランクごとの標準報酬によって社会保険料が決定されるのでランクのギリギリのところで月々の役員報酬を設定すると社会保険料が少し節約できます。(下記の社会保険料表参照)
 いろいろ考えることが多いですが、役員報酬の有利な設定を考える場合、法人税の税率と個人の税率、社会保険料の負担まで考慮してシミュレーションしてみるとよいと思います。


(参考)
所得税の税率

給与所得控除

社会保険料表






category: 経営

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